オルゴールとは?その誕生と歴史などを簡単に解説

オルゴールとは?二百年以上前に懐中時計から生まれた演奏再生機器

 

オルゴールの誕生

 オルゴールが生まれたのは1796年、スイスのアントワーヌ・ファーブルという時計職人が、それまで懐中時計に音楽を鳴らすために使われていたベルなどの代わりに、金属製の細長い小さな歯を使ったのが始まりだといわれています(諸説有り)。

 細長い金属の歯は次第にまとめられていき、櫛の様な金属板になります。それを櫛歯といい、櫛歯を使うのがオルゴールの大きな特徴です。

 つまり、櫛歯を使う演奏再生機器=オルゴールというわけです。

 楽譜としては、金属シリンダー、金属ディスク、紙のシート、紙のディスクなどが使われており、最近ではMIDIファイルを読み込んで演奏するものも存在します。

↑アンティークのシリンダーオルゴールの櫛歯

 

シリンダーオルゴール

 初期のオルゴールは、楽譜代わりにピン打ちをしたシリンダーを使い、時計同様にゼンマイを動力にしていました。

 シリンダーを使ったオルゴールを、シリンダーオルゴールといいます。

 1800年代後期まで進化を続け、大型化や素材や技術の向上などを経て、美しい音色を手に入れましたが、主に上流階級や富裕層向けのものでした。

 一時期は後発のディスクオルゴールが主流になりましたが、戦後になると、お土産物やプレゼントとして安くて小さいシリンダーオルゴールを使った商品が人気になりました。

 オルゴールを大量生産する時代になり、多くの人が簡単にシリンダーオルゴールを手に入れられる様になりました。

 また、その後に高級品市場も再形成され、現在、日本電産サンキョー(日本)やリュージュ(スイス)などがアンティークに近い構造の高級オルゴールを手作りしています。

↑アンティークのシリンダーオルゴール

 

ディスクオルゴール

 1885年にパウロ・ロッホマンなどが率いるシンフォニオン(ドイツ)というメーカーが世界ではじめて金属の円盤を使ったディスクオルゴールの実用化に成功します。

 シリンダーオルゴールの時代は普及タイプで多くの曲目を楽しむのは難しかったのですが、ディスクはプレス機によって安く量産が出来たので、ディスクオルゴールは1000曲もの取り扱いがある機種までありました(ヨーロッパで高いシェアを誇ったドイツのポリフォンと、アメリカで高いシェアを誇ったアメリカのレジーナには共通の創業者がいて、ディスク規格が同じものも有り、実際はもっと多くの曲が使えたのではという人もいます)。

 音楽の再生機器として1900年前後の時代を席巻し、ジュークボックスの様に使われ、ヨーロッパやアメリカで庶民にも親しまれていました。

 しかし、蓄音機の普及とともに次第に勢いを失い、1920年までには三大メーカー(ドイツのシンフォニオン、ポリフォン。アメリカのレジーナ)の全てが消え、一時は滅亡の危機にありました。

 現在、その評価が見直されており、日本電産サンキョー(日本)やポーター(アメリカ)などがディスクオルゴールの生産を行っています。

↑アンティークのディスクオルゴール

 

オルゴールが出来るまで

 18弁オルゴールといわれる機械生産のオルゴールが出来るまでの過程が下記の動画で分かります。

 この機械を持つサンキョー(現在の日本電産サンキョー)はオルゴール需要が最も高まったバブル期には世界シェアの8~9割、年間1億台近くの生産量があったといわれています。

↑教育番組の金字塔「ザ・メイキング」のオルゴール編です。